学科教員中嶋です。
オープンキャンパスとしてはシーズンオフのこの時期ですが、そういう時だからこそ、皆さんからよくお受けした公認心理師、臨床心理士の質問に対して、「簡単」かつ「大雑把な」回答を書いてみたいと思います。
「公認心理師と臨床心理士の違いは何ですか?」
大きくは、国家資格(公認心理師)と民間資格(臨床心理士)の違いがあります。しかし、どちらの資格でも、対象とする人や現場が違うわけでありません。
公認心理師を目指したい場合、大学4年の学部教育と大学院2年の両方で、公認心理師資格に対応したカリキュラムのある大学で学び、単位を取得すれば、大学院修了後に受験資格が得られます。
臨床心理士を目指したい場合、臨床心理士資格に対応したカリキュラムのある指定された大学院に進学して、所定の単位を取得すれば、大学院修了後に受験資格が得られます。
繰り返しになりますが、臨床心理士を目指したい場合は、心理系でなくてもどのような学科でも卒業し、指定大学院に合格すれば道が開けますが、公認心理師の場合は、学部から公認心理師のカリキュラムがあるところで学ぶ必要があります。
「公認心理師と臨床心理士の資格が2つあるのは、なぜ?」
少し長くなりますが、簡単・大雑把にぎゅっと縮めてお話ししたいと思います。
①臨床心理士資格の流れ
臨床心理士は、1988年から運用された民間資格で、民間資格といっても、臨床心理学の専門家団体で認めた資格です。当初から専門職として、国家資格を射程に入れた資格化の動きを、ずっと進めていました。まだ、この頃は臨床心理士有資格者の数も少なく、臨床心理士の仕事も現在ほどよく知られておりません。そのことなども含めて、すぐに国家資格化とはなりませんでした。
臨床心理士の存在が知れるようになったきっかけは色々ありますが、1995年の阪神・淡路大震災で「心のケア」が重要視されただけでなく、それ以前の不登校事例の増加、いじめによる子どもの自殺等、ないがしろできない問題が注目されていた流れもあります。
また、1995年に「スクールカウンセラー活用調査研究委託事業」といって、各県と政令指定都市の一部の学校に臨床心理士、つまりスクールカウンセラーを入れて、学校側への効果や課題を調べた結果を得ました。その後に、にスクールカウンセラーが配置されるようにさらに推進され、多くの臨床心理士が皆さんの地域に入り、知られるようになってきました。
それに伴い、確かな実力をもつ臨床心理士の養成が担保されないといけないことから、一定水準の教育環境と教育内容についても整備されてきました。今では臨床心理士でも、公認心理師でも、心理臨床家有資格者になるには、学部4年プラス大学院で所定の学修課程(2年)を終えることが条件となりました。医師や薬剤師になるための6年教育と同等の教育レベルが必要です。今では、大学院教育の内容と特徴に応じて、臨床心理士を養成するための大学院は、第1種指定大学院、第2種指定大学院、専門職大学院とあります(これらの違いは、ニーズがあればまた説明しますね)。
②公認心理師への流れ
以上の通り、当初から心理職の国家資格化を目指す中で、細かな経緯がありました。受験生向けレベルで大雑把に説明すると、2005年7月に1度「医療心理師」と「臨床心理士」での国家資格化の動きがありました。結局これら2つの資格で活動できる範囲が異なったり、様々な混乱が生じたことから、国家資格化ならずという結論に至りました。
しかしながら、社会では、心の問題も多様化して、自殺者、うつ病などの休職者の増加、いじめ、不登校、発達障害、虐待など、多くの社会適応における問題も注目されるようになりました。そのような現状もありながら、心理職の国家資格化について、新たに目指しなおす動きも始まりました。先の文章でも出てきた医療現場で活躍する心理臨床家のあり方を土台に、特に、医療現場では主治医の相談を仰ぎながら活動をする、そして教育現場や他の多くの現場でも活躍する心理臨床家として、国家資格化へ進めるように検討されていきました。つまり臨床心理士に近づけていくような資格にする考え方で、具体的な動きになっていきました。
さらに細かい経緯を省きますが、その後も紆余曲折を経て、2017年9月に公認心理師資格を国家資格とする法案が通り、国家資格化へ。2018年9月9日に第1回試験が行われました。公認心理師の主要な活動領域としては、①医療、②教育、③福祉、④司法・矯正、⑤産業です(それ以外では活動できないということでありません)。
長くなりましたが、このような経緯から、歴史が長く既に認知度も高い「臨床心理士」とやっと実現できた国家資格の「公認心理師」が2つある状態です。ということで、さらに詳しい説明やかみ砕いた説明などは、是非これらの資格に関して触れたHPも色々ありますので、ご確認ください。なお、臨床心理士は、公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会、公認心理師は、一般財団法人 日本心理研修センターが試験を行う機関です。
少しお堅い話だったので、くだけた話を。
先日、人間発達学科の仁藤先生から、「質問紙とって、データ入力したので、夕方以降でお時間取れる時に調査のデータ処理を教えてください」と依頼されました。
データ入力の様子を確認すると、すぐに「あれ?」というところがあり、仁藤先生が直接、質問紙とデータを照合して確認しないとわからないところが出てきました。手持無沙汰になった私は、仁藤先生の部屋にあるけん玉を発見!私は、したことがありません。
保育士養成にかかわっている仁藤先生と、過去、乳幼児健診や児童福祉の現場に長くかかわっていた私は、この手の情報交換をすることもあります。仁藤先生は、授業で伝承遊びなども扱っていて、けん玉も取り入れているようです。私が前にいた広島県でも、特に廿日市(はつかいち)市でよくけん玉が行われているのを知っていましたが、山形県でもけん玉が作られていたり、盛んであることを教えられました。
「先生、やってみますか?」ということで、すぐけん玉の技のポスターを貼ってくださり、「けん玉は膝を使うんです、そして、無になることが大事です」とお手本を見せてくださいました。
そして、仁藤先生がデータを確認しているそばで、私はけん玉に勤しみました。集中力や目と手の協応が求められるとのことですが、夢中になってしていたら、何だかんだで1時間くらい経っていました(えっ、1時間も?)。利き手と非利き手で、基本の大皿、小皿に載せることができるようになっていました。
作業を終えると、仁藤先生は、けん玉の技を披露してくださいました。
・・・結局、データ処理には進んでいませんが、仁藤先生は、「先生、次はコマ回しを教えますから!」ということで、今後もこの交流が続きそうです。Stay homeの推奨が続きますが、皆さんも、巣ごもり生活、充実させてくださいね!