先日の12月4日(土)の午後に「精神保健ソーシャルワーク臨床実習 報告会」を開催しました。
精神保健ソーシャルワーク臨床実習というものは、本学独自の科目名です。厚生労働省では、「精神保健福祉援助実習」というものです。精神科医療機関での実習が90時間、障害福祉サービス事業所での実習が120時間行うものとなっています。この実習は、精神保健福祉士国家試験を受験するために必要なものです。ですから、精神保健福祉士になりたいと思っている学生は、受講する必要があります。
今年度の実習生は、6名でした。それぞれ医療機関、障害サービス事業所での実習を、早い者ですと7月後半くらいから始め、一番遅い時期では10月初旬までという所謂夏休み期間(を超えることもあります)に行ってきました。また、本学では実習先の範囲を東北六県とし、可能な限り育った地域で実習可能な機関・施設で行うようにしています。
報告会は、2つの教室(3人づつ)で原則スライドを作成して発表を行います。内容としては、どこの施設でどんなことを実習で体験したかですが、単に時間軸で示すことはありません。まず、実習の目的(なぜ、その施設を選んだのか、その施設で何を学ぼうと思ったのか)を書きます。次に実習先の概要となります(スライドでは1枚程度です)。次からがメインになってきます。学生自身が学んだことを書くわけですが、結論だけ言っても伝わりませんから、エピソード(どのような状況だったのか、利用者さんや実習指導者とのやりとりなど)を書きます。その上で、自分自身がどう考えたのか、思ったのかということです。ここでも、教員から要望がだされます。それは、可能な限り図表を取り入れることや自分自身が考え出した概念図を示しながら書き記すことです。これは、他者にどう伝えればいいのかを関係図を書いたり比較表を作ったり、まさしく言いたいことを図として表します。これは、相手にどうやったら伝わり易くなるか、自分の考えをイメージにして表すということをしています。もちろん、字だけでもいいのですが、精神保健福祉士は相手に伝えることも仕事なので、どのようにしたら聞いている方に自分の考えを理解していただけるかを考えてスライドの中に表します。これを実習指導の担当教員と何度もやりとりをしてようやく完成させます。
そして、教員よりもう一つ要望がだされます。それは、原稿を見て話さないということです。発表者が下を向いて原稿用紙をただ読むのでは、聴衆は聴いてくれません。スライドが映っているスクリーン、PCの画面そして聴衆と3つの視点を行き来しながら、その一枚一枚のスライドで伝えたいことを発表します。学生は、このちょっと無茶ぶりの多い教員の要望を満たすため、報告会が行われる教室にて時間を計りながら発表の練習を何度もして本番に臨みます。
こうして本番を迎えます。発表が行われる教室では、実習期間中お世話になった実習指導者の方をはじめ、下級生(精神保健福祉士を目指している者)が先輩の発表に耳を傾けます。
3年生が司会とタイムキーパーの役割を担います
2箇所の実習となるので、発表時間は10分ずつで20分、質疑応答は5分
スライド(スクリーン)とPC画面とフロアの方へと視線を移動させながら、報告をしています
一人の発表が終わると、行きたい実習先の発表を聴きに教室を移動します。
2箇所の実習となるので、発表時間は10分ずつで20分、その後質疑応答時間を設けます。発表後は実習指導者の方からのコメント、下級生からの質問、教員からの質問を受けます。予想していない質問にも臨機応変に答えること力が必要となります。この時の司会とタイムキーパーは、来年実習予定の3年生が受け持ちます。
4年生の発表者は、終わると緊張から一気に解き放たれます。報告会終了後には、再度実習指導者の下にかけより御礼を述べます。来年の4月には、臨床の場につきます。その際にどのようなことが必要となるのか、最後のアドバイスをいただきます。
本学の精神保健ソーシャルワーク臨床実習の報告会は、毎年この時期にこのような形で行われます。
さて、来年はどのような報告会になるのか今から楽しみです。