こんにちは。教員の高田です。
新しい時代の社会福祉士になりゆく皆さんにおすすめしたい「強み」。それは「グローバルな視野」です。つまり「社会福祉士」×「グローバルな視野」。
これを聴いてピンときた人は少ないでしょう。
いままで社会福祉士の現場では「障害」や「高齢」が中心で、外国人のこと、グローバルな視野とか異文化理解などは中心的なトピックではありませんでした。
しかしいま、社会福祉士もそうした力が求められています(そうした「異文化を理解する能力」は最新の社会福祉のテキストで「文化的能力(Cultural Competence)」として紹介されています)。
ではなぜ最近になってこうしたことが注目されるようになってきたのか。答えはシンプルで、社会福祉士の現場でそうした力が求められる時代になってきたからです。
皆さん、仙台市内のコンビニでインド・ネパール系の方が働かれている光景をみたことがあるのではないでしょうか。
彼らのような在住外国人はグローバリゼーションに伴い増加し、宮城県では震災以降、とくに増加しました。そして彼らは観光客などのお客様ではなく、長く地域に定住する生活者になりつつあります。
そうした生活者としての彼らは、我々と同じく生活上の困難を抱えます。いや、同じくというより、言語や文化的な問題によってむしろ生活上の困難を抱えやすいといえるでしょう。
例えば、ネパール語しか話せないネパールの人が生活相談の窓口に来たら、社会福祉士さんはどう対応するのでしょう。その方の困難に、ネパールの文化や政治、経済はどう影響しているのか。言語の問題をどう解決するのか。言葉がわからなかったら聞き取りも困難ですよね。そもそも「窓口」の存在を彼らは知っているのでしょうか。人知れず、相談窓口がどこかもわからずしんどい思いをしている可能性は?
想像するといろいろありますね。実際、彼らがかかえる問題は社会福祉の現場でも非常に見えにくいそうです。例えば、先日お会いした宮城県の行政で働く社会福祉士の方が「今回のコロナ禍で地域に『在住外国人』という脆弱な層があることに初めて気がつく部分があった」とおっしゃっていました。
社会福祉士が対応するクライエントに在住外国人がいるのが当たり前の時代、社会福祉士にもグローバルな視野、異文化理解の能力が求められているということですね。
「社会福祉士」×「グローバルな視野」は決して特異なことではなく、まさにこれからの領域だといえます。
私が担当している「国際福祉論」では次次回、ゲスト講師に外国人支援の最前線で活躍されている社会福祉士の方をお呼びします。その先生は「(いま、社会福祉士を目指す)学生の皆さんには今日、クライエントに在住外国人がいることは当たり前だと捉えていただきたい」とおっしゃっておられましたが、まさにその通りだと思います。
本学科で社会福祉士を目指す学生には、ぜひともグローバルな視野を身につけて卒業し、現場で必要とされている「文化的能力という強み」をもった社会福祉士として活躍してほしい、と願っています。