みなさん、こんにちは。
精神保健福祉士受験資格を取得するための実習(4年次)は、夏休みの間で行われています。実習先は、精神科の医療機関(90時間以上)、障害者サービス事業所(120時間以上)となっています。実習では、これら2種の実習を必ず行わなければなりません。
10月になって、実習を終えたが学生が授業に戻ってきました。
そこで今回のBrogでは、実習の様子が少しでもイメージできるように、学生さんに実習について話して頂きました。
教員:こんにちは。
学生:こんにちは。
教員:実習お疲れさま。
学生:ありがとうございます。
教員:実習先はどこに行ったの?
学生:山形県にある「社会医療法人二本松会かみのやま病院」です。時期は7月20日から8月10日までの13日間行ってきました。
教員:そうか。山形ね。地元だっけ?
学生:山形の南の方です。
教員:それで山形ね。地元だと安心だよね。ところで、実習ではどんなことしてくるの?
学生:かみのやま病院での実習では、医療福祉相談室での精神保健福祉士の業務の見学や在宅訪問のときは精神保健福祉士に同行しました。他にも精神科デイケアでは、利用者さんと一緒に麻雀や運動、心理教育、日中活動の支援、重度認知症患者デイケアでは、定期訪問に同席や日中活動を一緒に行いました。
教員:盛りだくさんだね。約2週間だよね。一日忙しいよね。
学生:そうなんです。あっという間でした。
教員:実習に行ってみて何か感じたことや考えさせられたことはある?
学生:はい。病院実習を通して思ったことは、精神疾患を患っている人も自分たちとそう変わらないということを思いました。今回の体験を通して、ホントにそれは実感しました。たわいもない日常的な会話をしたり、一緒に運動をする際に励ましあったり、麻雀を教えてもらったりして、むしろ患者さんや利用者さんの方が自分よりも年上で人生経験が豊富ゆえに様々なことを教えてもらったりもしました。そうした体験から自分自身の「偏見」なんかを考えさせられました。実習をしてみないとホントわからなかったです。実習で改めて認識させられたという感じですかね。
教員:なるほどね。「偏見」とか普段の生活では考えないもんね。実習ということだけでなく、人として...という感じだね。
学生:はい。それから、地域に根差した医療を提供する病院の特徴や患者さんや利用者さん本人の自己決定の為に「精神保健福祉士」が選択肢を提供し、あくまでも本人主体で今後を考えるということも目の当たりにして、勉強になりました。
教員:そうだね。精神保健福祉士とか社会福祉士は、患者さんの悩みを解決してくれる人と思われがちだけど、ほんとは、相談を受けてその患者さんの悩みが解決できるように多くの選択肢を提供するのが仕事だよね。解決してあげるとなると、本人の解決する力を奪ってしまうことにもなりかねないもんね。
学生:はい。そうなんです。そのために必要な精神保健福祉士の専門的な能力についても学ぶことが出来ました。患者さんや利用者さんは精神保健福祉士を選ぶことが出来ないからこそ、精神保健福祉士は患者さん・利用者さんにとって当たり外れのない支援をおこなっていかなければなりません。
教員:まったくだね。もちろん新人さんとベテランさんでその知識量は違うけれど、新人さんがベテランさんを知っていれば聞けるもんね。ほんと、ネットワークって必要だよね。いろんな人と関わっておかないとね。そうやって現場では人脈だったり知識を増やしていくんだよね。いつまでも、勉強だね。実習はほかにも?
学生:はい。特定非営利活動法人ソキウスせんだいが運営主体にある「障害者相談支援事業所ソキウス」で9月6日から9月30日までの17日間実習を行ってきました。
教員:そうね。2箇所行かないといけないもんね。で、どうでした?
学生:ソキウスでは、前半は相談支援事業所内での精神保健福祉士の業務の見学や訪問活動への同席、同じ法人内にある就労継続支援B型事業所や障害者小規模地域活動センターで利用者さんと一緒に作業に参加させていただいたり、グループホームの見学や保護観察官の方のお話を聞かせていただくなどを体験しました。
教員:こっちも盛りだくさんだよね。
学生:そうなんです。実習の後半では、1人の利用者さんについて支援計画を作成するという課題が指導者さんから出されました。
教員:ほう。支援計画かぁ。大変だね。でも来年の4月には計画を作るようになるからね。今のうちに実践的に体験しておかないとね。
学生:そうなんです。大変でした。利用者さんの最近の出来事を観察しながら、話を聞きながらアセスメントをして今の状態を把握するんです。これが重要です。何を必要としているのかをこちらもキャッチしなくてはならない。そうでないと計画が立てられないということになるんです。そしてその上で支援計画を考え、それをスタッフミーティングでケースレビューをし、その後その利用者さんの通所施設で模擬ケア会議を行いました。
教員:大変だったね。ケア会議なんかもやったの? みんなの前で発表したの? 実践的だね。
学生:はい。そうなんですよ。
教員:こっちの実習では、どんなことを考えさせられました?
学生:今回の実習を通して、障害者相談支援事業所の役割や精神障害者が地域に戻ってからの支援を難しさや現状について考えさせられました。でも、かなり実践に近い形で実習を行わせていただいたので、沢山の学びを深めることができたかなと思っています。
教員:例えば...。
学生:例えば、地域に戻って様々な機関とのかかわりがあり、その中継役といういうか調整役のような存在にあたるということですかね。相談支援事業所は、利用者さん本人だけでなく、関係機関に対してもアセスメントを行いながら支援の方針を考えていかなければならないのだと学ぶことが出来たかなと思います。関係機関全員が同じような評価をしているわけではないこともあります。その利用者さんに対して同様の課題を共有するためには、関係機関でも立場やその担当者ごとに考え方や感じ方についてお話を伺って、関係機関が同じ目標に向かうことが必要だと思いました。
教員:確かに。「協働」だね。その調整役ね。利用者さんと支援機関とのね。なるほど。
学生:他にも精神保健福祉の分野としての今後の課題は、精神障害者の高齢化問題で、今後精神保健福祉士が意識して着目していかなければならない場所は、グループホームになってくるのではないかとも思いました。
教員:おお〜。それはすごい。高齢社会だもんね。少し大げさかもしれないけど、生まれる前から亡くなるまで、もしかすると亡くなった後も...グリーフケアということもあるしね。人の一生に寄り添う仕事ともいえるかもね。
学生:そうなんです。実習をしてみてそう感じました。
教員:実習が終わった今は?
学生:はい。今は、実習報告書を書いています。医療機関と障害サービス事業所の2箇所分です。
教員:そうなの。
学生:それぞれに、実習中にこころに残った出来事を書いて、そのうえで何を学んだのか、今後にどう活かそうと考えたのかなどを書きます。
教員:そうか。振り返り。内省をも含めてだね。文章化することで、更に意識化できるもんね。
学生:それが終わると、12月の初めに「実習報告会」があるんです。そこに向けて、今度はスライド作り。
教員:そっかぁ。時間ないよね。
学生:そうなんです。まだ、報告書が終わってないんです(泣)。
教員:あまり、時間取っちゃダメだね。じゃぁ、今日はありがとね。こっちも勉強になりました。報告書、スライド、追い込むようだけど国試も頑張ってね。4月から今回の経験を実際に活かしてもらって、患者さんとか利用者さんに寄り添って頑張ってください。
学生:ありがとうございました。
←上の文章とは別の実習生です
1日の実習の終わりには、毎日実習指導者さんから振り返りをして頂いています。
実習生は、一日の体験の中で疑問に思ったことや感じたこと、考えたことを指導者さんに伝え、
教えてもらったり考えを支持してもらったりして自信につなげたりしている様子です。
これらを体験し、精神保健福祉士としての知識や技術、価値観や倫理を身につけていきます。