皆さんこんにちは。
ここ最近,ようやく暑さから解放され始め,穏やかな気候になってきましたね。
本学は9月18日から後期授業がスタートし1週間以上が経過しましたが,夏季休暇が長期だったため,学生の皆さんは生活をもとのペースに戻すのに大変なようですね。
さて,今回は1年半の間,大学を休学して国際ボランティア活動を経験してきた心理福祉学科4年の中川夏海さんが帰国しましたので,貴重なお話を伺いました!
教員(以下,「教」):中川さん,お帰りなさい!久しぶりだね〜。1年半,大変お疲れ様でした。
中川夏海(以下,「中」):無事に帰りました。久しぶりの日本,大学で,まだ不思議な感じがしています。
教:今回,中川さんの貴重な体験をお話してもらって,本学の学生をはじめ,このブログを読んでくれている多くの人たちの刺激になればと思いお願いしました。後期が始まって早々だけど,よろしくお願いします。
中:はい,こちらこそよろしくお願いします。
教:まず,どこの国にボランティアに行ってきたの?
中:東欧にあるルーマニアのDeva(デヴァ)という街に1年3ヶ月,イタリアのナポリ近くのプロチダ島に3ヶ月間いました。
教:へー,2箇所も!東欧のルーマニアと南欧のイタリアでは随分と雰囲気は違いそうだね。それにしても,今回,なぜ海外ボランティアをしようと思ったの?
中:もともと小さい頃から海外に興味があって,今回参加した「心の港」というNGO団体のメンバーと,偶然に仙台の教会のミサで出逢ったことがきっかけでした。この団体はフランスが起源なんですけど,今ではヨーロッパをはじめアジア,南米,アフリカまで活動を広げています。
私は冬季休暇の期間を使い,1ヶ月間この団体のメンバーと一緒に住み,コミュニティ生活を送りながらボランティア活動をしました。その間はヨーロッパや南米のコミュニティとZoomなどで連絡を取り,現地でのボランティア活動の様子についてミーティングも行っていました。実際に仙台でボランティア活動をする中で,やはり「海外でも人の助けになることをしたい」と思い,1年半ボランティアに行くことを決めました。
教:一つの出逢いが自分の運命を変えるような経験をしたわけだね。
中:そうですね。本当に運命的な出逢いをしたんだなと実感しています。
教:じゃあ,実際に現地ではどういう活動をしていたの?
中:「心の港」はカトリックの団体なので,キリストの教えを基に活動しています。
決められている活動内容は,「毎日ミサに行くこと」,「祈り(アドレーションという毎日1時間一人で静かに祈る時間があります)」,「コミュニティでの生活」,そして「貧しい方や障害のある方,一人暮らしのお年寄りへの訪問」があります。ルーマニアではロマの家族や子どもたちへの訪問,週一回孤児院を訪問していました。
教:さまざまな活動に携わったんだね。特に日本に住んでいるとロマの方々に会う機会はなかなか無いだろうから,貴重な体験だったんだね。
良かったことも辛かったことも含めて,今回の活動の中で得たこと,考えたことは何かあった?
中:このボランティアでは行く国を自分で選ぶことができません。団体から指定された国に派遣されるので,行く国が決まってから言語を勉強する必要がありました。英語だけではなく現地の言葉を身につけることが重要になるので,ルーマニアやイタリアに到着した当初はコミュニケーションを取ることが難しく苦労しました。だからこそ初めての国,初めて触れる文化を肌で感じながら毎日を新鮮な気持ちで過ごすことができたと思います。
活動をする中で考えたことは、どうすれば「金銭的な支援や物資的な支援ではない方法で現地の人の助けになれるか」ということでした。人によって必要としているものは違うし,特に,ルーマニアでは愛情を必要としている子どもたちをたくさん見てきたからです。
この活動での大きな気づきだったのは海外留学とは違い,ボランティアの立場だからこそ出逢った現地の人たち一人ひとりの人生の一場面を,一緒に寄り添うことができたということです。
教:「金銭的な支援や物資的な支援ではない方法で現地の人の助けになれるか」というのはとても重い言葉だね。その国や個人によっても必要な援助は変わってくるから,人と人との関わりで見えてくることもあるんだと実感しました。
今回の活動で,一番印象に残っていることはどんなこと?
中:初めの数ヶ月間は,私がアジア人だったこともあって,なかなか周りの人に受け入れてもらえず落ち込んでいました。そんな時,あるおじいさんがふと私に向かって「神様は私たち人間をみんな同じように作ったと聖書に書いてあるでしょ?君の存在はそのことを表すためにここで必要な存在なんだよ。」と言ってくれました。その瞬間私はどんなことをして誰の役に立つかではなく私の存在だけでいいんだと思えるようになりました。ずっと心の中に降り続けていた雨が止んだようなこの瞬間は忘れられません。
教:これが本当の「出逢い」なんだろうね。人生の中で一度は自分の人生観を変えるような大きな出逢いがあると思うんだけど,もしかするとこのおじいさんがそんな存在だったかもしれないね。
教:さて,とても興味深い話をたくさん聞かせてもらったんだけど,中川さんは今後どんな進路を考えているの?
中:今後はこの一年半の経験から国際交流に関わる仕事をしたいと思っています。またそれに加えて,ルーマニアで出会ったような子どもたちや障害のある人を小さなことでも支援するような機会を作って行きたいと思います。
教:この一年半,中川さんがどれだけ成長できたのかよくわかりました。今後も社会貢献,国際貢献活動を続けていくと思うけど,自分の夢の実現に向けてこれからも頑張ってください。期待しています!今日は貴重な話を聞かせてくれてありがとう。
中:はい,これからも頑張ります!こちらこそ,ありがとうございました。