学科教員中嶋です。
本学はカトリックの精神が建学の精神にありますので、水曜日の昼休みに「バイブルサービス」という時間が設定されています。
4年制大学としてスタートした1996年から実に23年続いているようです。
目的は「キリスト教的世界観を基盤にしながら、人間を理解し援助できる学生を育てるための宗教教育の一環として、学生と教職員が集い、聖歌を歌い、聖書に関連する講話を聴きながら、共に祈ること」だそうです。
私もたまに参加し、先生方のお話から個性を感じつつも、キリスト教の思想に関連した知識や倫理観、人間観を学ばせていただいています。
終わると、ちょっと心をきれいになったかなと感じられる気がします(←勝手な思い込み)
ところが、私にバイブルサービスの話し手のお鉢が回ってきてしまいました。
超難題でしたが、7月にモスクワ大学で開催された16th Europe Congress of Psychologyという学会の発表のために出張した時に、あちこち教会を訪れ、感じ取ったことを何とか話しました。
お粗末な話にもかかわらず、何故か私の話を記事にするように、ブログ隊の某先生から仰せつかり、この記事を書くことにしました。
ロシアは、キリスト教信者が多く、ロシア正教という宗派が殆どで、カトリックのように厳格な考えを大切にしている国です。
また、政治的にも特色ある歴史をたどっている国ですから、異文化理解という点で、知的好奇心がそそられました。
ところが、実際に行って観光施設を見ても、英語表記がされていることが少なく、ロシア語だけというところが多かったのです。
よって、自分の目前にあるものは、何を伝えているのかを感じ取らねばなりませんでした。
私は本学に来るまで、キリスト教に接したことが殆どありませんので、このシリーズの話題にしている私の感じたことは、私個人の感性や考えに基づくことであり、ロシア正教のみならず、キリスト教の正確な知識と関連しているとは限らないことを、先にお断り書きとして述べ、お詫びを申し上げたいと思います。
まず、モスクワの観光名所といえば、「赤の広場」と「クレムリン」です。
赤の広場の画像ですが、人の大きさと対比させながら見ていただくとわかりやすいですが、このようにとにかく広く、高い建物が多いのです。
「赤の広場」は、美しい広場という意味です。
国の行事等、重要なイベントが行われる広場で、本当に広い・・・。
「クレムリン」というと、宮殿というイメージがある人もいらっしゃるかもしれませんが、実際は「城塞」「要塞」という意味で、現在でも中には政治の場として使われているところもあります。
城壁の中に、城、宮殿、 聖堂がたくさんあります。このように、大砲があり、武器庫という観光名所もあって、色々な武器が展示されていました。
高さ6mほどの巨大な鐘、ツァーリ―・コロール(鐘の皇帝)もクレムリンの中で鋳造されたらしいですが、鳴ることもなかった鐘です。大火災の時、消火しようと水をかけたら、割れてしまったらしいです。重さも、200tくらいはあるようで、持ち上げられなかったくらいだそうです。
私は、クレムリンを歩いていて、「えっ、現在も政治が行われている敷地内に、武器と宗教の建物?」と違和感を覚えました。
「日本の国会議事堂の敷地に大砲や鐘や武器庫があって、寺社の本殿があるっていうこと?」と思ったのです。
振り返って考えてみると、日本は政教分離が原則の国ですから、日本と違う感覚を覚えたのだと思います。
政治や宗教には、威信が非常に大切でしょうから、社会主義国としてはそれらが結びついてくるのは、当然のことのような気もします。
観光名所のどこに行くにしても、その場所にどのような意味を持たせているのかを知ることが大切です。
うまく表現できませんが、平和を目指すことにまつわる考えが日本と違うのでしょうし、社会主義国としての国民性を知ることが最初の鍵だと感じました。
その他にも、クレムリンの中には見事な聖堂や宮殿がたくさんありました。
以下の画像ですが、パトリアルシ―宮殿、ウスペンスキー大聖堂、ブラゴヴェシェンスキー大聖堂、十二使徒教会、アルハンゲリースキー大聖堂、イワン大帝の鐘楼・・・。
クレムリンに限らず、モスクワで教会にうかがってみると、殆どのところで聖堂が複数あるのが普通です。
クレムリンの外に出て、赤の広場に来ると、聖ワシーリー大聖堂(生神女庇護(=ポクロフスキー)大聖堂) がありました。
以下の写真の通り、ここもモスクワの顔のようなところで、テーマパークのように美しい概観で、一度見たら忘れない聖堂です。
他の観光客についていた英語ガイドさんの話によると・・・
「聖堂の金色は天の栄光、 太陽を意味しており、光を象徴することが大切で、聖母や復活のようなイメージが大切にされている」というようなことが聞こえました。
真ん中の主聖堂の 周りを8つの小聖堂が囲んでいて、その一つ一つの聖堂には意味付けがあるようでした。
後で調べると、敷地はスクエア型(正方形)になっていて、正方形2つを星型になるようにずらして、8つ方向を向いていることが大切とのことでした。だいぶ後の記事でも触れますが、ものがいくつあるかで、キリスト教にまつわる色々なイメージとつなげていることがあるようです。
ちなみに8は、聖マリアやキリストの復活の象徴的意味とつながるそうです。
この後の記事では、モスクワ市内の世界文化遺産を訪れた記事を書きます。
まずはコロメンスコエ(主の昇天教会)、ノヴォデヴィッチ修道院などのお話で、しばらくモスクワの話が続きます。
お楽しみに。