12月1日(土)、精神保健福祉援助実習の報告会を開催しました。これは、夏休み期間を利用して、精神保健福祉士の国家試験受験資格を得るための実習を行ってきた4年生が、その実習中に得た”気づき”をまとめ報告するものです。
実習は、医療機関で90時間、障害者福祉サービス事業所で120時間行います。日数は、併せて30日間となります。
学生は、3年生の後期から少しづつ実習先について調べます。4年生になると実際に何を学びたいのか、どのようにして学ぶのかなど具体的に記載した”実習計画書”を作成します。何回も教員の添削を受けながら進めます。6月には、実習先の指導者の方と学内において懇談をし、作成した計画書に現実味があるかを確認していただきます。場合によっては、計画の内容を変更することもあります。7月には、実習前訪問ということで、実習先に赴き、実際に通勤のための交通機関や出退勤の時間を確認しに伺います。また、修正した計画書をもっていき、学生自身が立てた計画が実行できるかをイメージしてきます。ここでも時によっては、計画を修正する場合もあります。それから約1ヶ月後に実習に入ります。慣れないところで、計画書を確認しながら、精神障害者の方のこれまでの歴史や今後の希望などアセスメントしたり、他の職種(医師や看護師、作業療法士)の業務内容や精神保健福祉士との関わりを学びます。実習は、施設内だけではありません。訪問看護に同行し、自宅での生活を垣間見たり、日勤終了後に地域にて行われる各種協議会に参加し、行政の方や他の事業所の方と支援の在り方についての討論に参加したりします。実習の後半には、全ての施設で行われるわけではありませんが、学生自身が立てた支援計画を指導者の方に報告しスーパービジョンを受けます。
学生はこの実習の中で、障害者に対しての偏見や就労支援の難しさ、ソーシャルワークにおける価値とは何か、また倫理とは何かなど座学で学んできたことを臨床の場で考えたり、体験したりします。
報告会では、精神保健福祉士とは精神障害者にとってどのような存在なのか、ソーシャルワークとは何か、ストレングス(障害者自身のなかにある強み)視点の重要性、支援がパターナリズム(いわゆる「お節介」)に陥る時とはどのようなことなのかなどなど、たくさんの学びを報告します。
報告会には実習指導者の方、将来精神保健福祉士を目指す下級生が参加をし、4年生の発表を真剣に聞いています。発表が終わると、担当した指導者の方から評価のコメントをいただきます。
報告会が終わると、学生は、少しだけホッとします。これまでの様々なアドバイスを受けながら、残りの授業の中で再度自分自身の学びを整理していきます。
実習担当教員:実習を終えた学生の表情や一つ一つのコメントに成長を感じます。あと数ヶ月後には、臨床の場に向かうことになるでしょう。その時には、是非、今回の学びを思い起こし、精神障害者の権利擁護や生活支援をしていってもらいたいと願います。