心理福祉学科の1年生の必修科目の一つに「心理福祉入門」があります。この科目では、心理福祉学科の教員全員が一人1回ずつを担当し、自分の専門とする学問分野について講義します。先生方の顔見世も兼ねつつ、心理福祉学科の全体像をつかんでもらおうというのがこの科目の狙いです。
さて、少し前になりますが、6月9日の授業は、渡邊が担当する回でした。渡邊はこの授業で「記憶」をテーマとし、毎年、記憶の変容のシミュレーションとして「絵の伝言ゲーム」を行っています。多少のゲーム的要素も加わって、毎回それなりに盛り上がります。ところが、今年度は遠隔授業となったため、伝言ゲームをどうやって実現させようか悩みました。
遠隔授業では、Zoomなどの流行りのツールを使って行っていますが、これで伝言ゲームを行うのは難しい……。ということで、結局、この伝言ゲームについては古典的な?ITツールであるメールを使ってやることとしました。その結果、「思った通り」とまではいかなかったものの、思いのほかスムーズに事は運び、無事に伝言ゲームを終えることが出来ました。10チームで同じ絵からスタートしたのですが、最後は見事に10通りの似ても似つかぬ絵にたどり着き、記憶の変容をシミュレーションするという目的は無事果たされたことになります。
以下は、あるチームの6人の絵の変遷です。最後にどんな絵になったかは内緒ですが、元の絵から次々と変化している様子がうかがえるでしょう?
今年度の1年生は新型コロナウイルスの影響もあり、ほとんど互いに顔を合わせたことがありません。今回は1年生みんなで楽しめる貴重な機会ともなったようです。そのせいか、授業後の感想で以下のように書いてくれる人もいました。
はじめて、クラスの人とゲームができてとても楽しかった。
絵の伝言ゲームをしてみて、人の記憶は曖昧なものだと思った。
記憶の植え付けの実験も、実際には経験していない迷子の思い出を思い出すのもとても不思議で、人の記憶に植え付けることができるのは少しこわかった。
記憶力がいい、悪いはどのような違いがあるのか気になった。
わずかではありますが、学生同士の交流の機会にもなったようでうれしく思います。一方、次のような感想も…
このような授業はなかなかオンラインでは難しいなと思いました。
学校にいってたらもっとみんなとワイワイでいただろうなと思い、早く学校に行きたいと思いました。
本学も一部授業を除いて前期は遠隔授業を続けることが決まりました。残念ながら、心理福祉学科の1年生はすべての科目で遠隔授業継続となり、みんなで顔を合わせる機会はまだ先になります。
新型コロナウイルスの流行はなかなか収まってくれませんが、大学でみなさんと会える日が1日でも早く来ることを祈っています。